クロノス・グループ、SPIR-V機能を搭載した「OpenGL® 4.6」を発表

今年で25周年を迎えるOpenGLは、バージョン4.6のコア仕様に11のARB/EXT拡張を追加

業界を代表するハードウェア/ソフトウェア企業から構成される、オープン・コンソーシアムのクロノス・グループは(以下、クロノス)は、SIGGRAPH 2017にて「OpenGL®4.6」を発表しました。 OpenGL 4.6は、クロノスの会員企業であるAMD、Intel、NVIDIAによって作成されたARBおよびEXT拡張機能を、SPIR-V™シェーダを取り込む機能を含むコアに統合しています。SPIR-Vは、クロノスが仕様策定した並列計算およびグラフィックスの中間言語であり、コンテンツ制作者はシェーダのオーサリングおよび管理パイプラインを簡素化し、ソース・シェーディング言語の柔軟性を大幅に高めることができます。OpenGL 4.6では、コア仕様にSPIR-Vシェーダを取り込むためのサポートが追加されており、SPIR-VシェーダがOpenGL実装で広くサポートされることが保証されています。

クロノスは、OpenGL 4.6をhttps://khronos.org/registry/OpenGL/index_gl.phpで公開しています。GLSLからSPIR-VまでのコンパイラglslangはGLSL 4.60で更新され、https://github.com/KhronosGroup/glslangで入手可能です。また、クロノスに詳細については、www.khronos.orgをご覧ください。

OpenGL 4.6の主な新機能

OpenGL 4.6には、次のARB拡張機能がOpenGLのコア仕様に追加されています。

  • Open GLのSPIR-Vサポートを標準化する、GL_ARB_gl_spirv及びGL_ARB_spirv_extensions
  • ジオメトリ・バッチ・レンダリングに関連するCPUオーバーヘッドを削減、GL_ARB_indirect_parameters及びGL_ARB_shader_draw_parameters
  • Direct3Dで利用可能な機能へのOpenGLサポートを標準化する、GL_ARB_pipeline_statistics_query及びGL_ARB_transform_feedback_overflow_query
  • テクスチャ・シーンのビジュアル品質を改善するために、以前にIPに妨げられた機能をOpenGLにもたらす、GL_EXT_texture_filter_anisotropicに基づいたGL_ART_texture_filter_anisotropic
  • レンダリング・シャドーに関係がある、「ライトリーク」と呼ばれる共通のビジュアル・アーティファクトを抑制する、GL_EXT_polygon_offset_clampに基づいたGL_ARB_polygon_offset_clamp
  • 機能とパフォーマンス向上のために、すべてのデスクトップベンダーがサポートするシェーダ組み込み関数を追加する、GL_ARB_shader_atomic_counter_ops及びGL_ARB_shader_group_vote
  • エラーが生成されないように、アプリケーションでエラーフリー操作であることをアプリケーションに示すことで、ドライバのオーバーヘッドを削減する、GL_KHR_no_error

OpenGL 4.6の主な新拡張機能

OpenGL 4.6に追加された上記の新機能に加えて、次の新機能が拡張されました。

  • 複数のシェーダのコンパイル・スレッドを起動し、シェーダのコンパイル・スループットを向上できる、GL_KHR_parallel_shader_compile
  • GL_KHR_no_error拡張をサポートするWGLまたはGLXで作成されるエラーコンテキストを認めない、WGL_ARB_create_context_no_error及びGXL_ARB_create_context_no_error

クロノスで、OpenGLワーキング・グループのチェアを務めるPiers Daniellは、こうコメントしています。「今までにない最も機能豊かなバージョンとなったOpenGL 4.6の公開を誇りに思います。私たちは、最も一般的で広くサポートされている拡張機能を新しいコア仕様にまとめ、OpenGLデベロッパーとエンドユーザー向けにベースライン機能を強化しました。たとえば、テクスチャの異方性フィルタリングと、ポリゴンのオフセット・クランピングをコア仕様に取り入れて、広範な実装と使用を可能にする以前の知的財産の障害の解決が含まれます。また、OpenGLワーキング・グループは、市場のニーズに応え続け、GPUベンダーと協力して、OpenGLをあらゆる重要な業界のすべての顧客およびユーザーにとって、実行可能で進化し続けるグラフィックスAPIとしての地位を確かなものにします」

洗練されたグラフィックス・アプリケーションは、VulkanとDirect3Dとの相互運用性を実現するために、OpenGLとOpenGL ESの両方で新たに公開された、拡張機能の恩恵を受けることが可能です。これらの拡張子は次のとおりで、https://khronos.org/registry/OpenGL/index_gl.phpで公開されています。

  • GL_EXT_memory_object
  • GL_EXT_memory_object_fd
  • GL_EXT_memory_object_win32
  • GL_EXT_semaphore
  • GL_EXT_semaphore_fd
  • GL_EXT_semaphore_win32
  • GL_EXT_win32_keyed_mutex

OpenGL 4.6に対する業界のコメント

NVIDIA、プロフェッショナル・グラフィックス担当バイス・プレジデントBob Pette氏

「OpenGL 4.6では、当社のフルレンジのOpenGL 4.x対応GPUで利用可能な一連のコア機能が強化されています。これらの機能は、レンダリングの品質、パフォーマンス、機能性を向上させます。グラフィックス業界で最も人気のあるAPIとして、OpenGLを完全にサポートしており、新しいOpenGL仕様の開発と顧客向けの拡張についてクロノス・グループと密接に協力していきます。 IpenGL 4.6公開に合わせてNVIDIAは本日、OpenGL 4.6ドライバのベータ版をhttps://developer.nvidia.com/opengl-driverで公開しました。デベロッパーはこれらの新機能をすぐに使用することが可能です」

Red Hat、シニア・プリンシパル・エンジニアDavid Airlie氏

「OpenGL 4.6は、Mesaプロジェクト準拠のコンフォーマントなオープンソース実装が、公開後の適切な期間を費やして成果を上げることができる、最初のOpenGLとなりました。OpenGLのコンフォーマンス・テストのオープンソースと、クロノスならびにX.orgとの間の継続的な作業により、非ベンダー主導型のオープンソース実装が近い将来、その適合性を達成できるようになるでしょう」

OpenGLについて

OpenGL®は、業界で最も広く採用されている2Dおよび3DグラフィックスAPIであり、数多くのアプリケーションを幅広いコンピュータ・プラットフォームに提供します。ウィンドウ・システムとオペレーティング・システムから独立しているほか、ネットワーク・トランスペアレントでもあります。 OpenGLは、CAD、コンテンツ作成、エネルギー、エンターテイメント、ゲーム開発、製造、医療、バーチャル・リアリティなどの市場において、PC、ワークステーション、スーパー・コンピュータ・ハードウェア用ソフトウェアのデベロッパーが、高性能かつ視覚的に魅力的なグラフィックス・ソフトウェア・アプリケーションの制作を可能とします。 OpenGLは、最新のグラフィックス・ハードウェアの機能を包括的に解き放ちます。

Khronos Group(クロノス・グループ)について

The Khronos Groupは、さまざまなプラットフォームやデバイス上で並列コンピューティング、グラフィックス、ビジョン、センサー・プロセッシング、ダイナミック・メディアのオーサリング及び高速化を可能とする、オープンな業界標準の仕様策定を行うコンソーシアムです。クロノスが仕様策定する業界標準にはVulkan®、OpenGL®、OpenGL® ES、OpenGL® SC、WebGL™、SPIR-V™、OpenCL™、SYCL™、OpenVX™、NNEF™、COLLADA™、OpenXR™、glTF™などがあります。クロノスの会員は各仕様の策定作業に参画し、一般公開前のさまざまな過程で仕様策定に関する投票を行うことができるほか、仕様のドラフトへのアーリーアクセスならびにコンフォーマンス・テストを通して、自身のプラットフォームやアプリケーション開発の期間短縮や機能強化に役立てることができます。詳細情報はWebサイトで公開されています(www.khronos.org)。

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