クロノス・グループ、SIGGRAPH 2019でオープンスタンダード3Dエコシステム開発を推進

3D Commerce Initiativeがクロノスの公式ワーキンググループとして活動開始
WebGLの新拡張機能を公開
glTFユニバーサルテクスチャとオープンソースツールのプレビュー公開
Vulkanの拡張機能が公開され、プロフェッショナル向けオーサリングツールによる使用増を確認

業界を代表するハードウェア/ソフトウェア企業から構成される、オープン・コンソーシアムのクロノス・グループ (以下:クロノス)は、7月28日(日)~8月1日(木)に開催されるSIGGRAPH 2019に参加します。クロノスは先日、新3D Commerce™ワーキンググループの活動開始を発表しましたが、SIGGRAPHではWebGL™、glTF™、およびVulkan®といった、クロノスが仕様策定を行う主要APIの新機能公開を予定しています。クロノスは、SIGGRAPHに関わるすべてのコミュニティに対して、継続的なコミットメントを行っていますが、会期中各セッションを通して、各APIの最新情報をご紹介する予定です。会期中の、すべてのクロノス関連セッションは、こちらをご参照ください(https://www.khronos.org/events/2019-siggraph )。

  • 3D Commerce Initiativeが、クロノスの新ワーキンググループとして活動を開始。参加企業募集中

2019年4月、3D Commerce Initiativeは合理化され一貫した3Dコンテンツの作成とその活用のために、クロノスの最新ワーキンググループとして設立されました。研究グループには、小売業者から技術ベンダー、製造業者に至る70社以上の業界をリードする企業が参加しており、ユビキタスな3Dコマースに最も必要とされている標準化活動に関する業界のコンセンサス構築のために活動しています。

小売業界は、3Dコンテンツが最も普及してる業界の一つです。製品の仮想的な表現は、オンライン販売・購入に加えて、広告や検索結果など、さまざまなプラットフォーム上で利用されています。3Dは強力な商品化ツールですが、今日の課題は、すべての3Dコンテンツを異なるプラットフォームやデバイス間で、一貫して体験できないため、3D仮想製品データの制作費増をはじめ、消費者の利便性が損なわれていることです。

3D Commerceワーキンググループは、3Dコンテンツの制作から配信・消費に至るまで、業界のあらゆる側面に関わる企業を集めて、コンテンツ制作の合理化、小売業者とコンテンツ制作者間の連携の確立、ユーザ体験の促進に必要なオープンスタンダードとガイドラインを作成します。3D仮想製品が、どこでどのように表示されていても一貫したものとなることを目指しています。

クロノスは、すべての企業がワーキンググループに参加し、Eコマースにおける3D環境の充実を支援するための活動に加わることを歓迎します。3D Commerce ワーキンググループの詳細については、こちら をご覧ください。

  • WebGLが新拡張機能とエコシステム開発を公開

既に、すべての主要ブラウザでサポートされており、Web上の数多くのプロフェッショナルCADおよび3Dアプリで利用されているWebGLは、デベロッパ・コミュニティから最も強く要求されている機能に対して、新しいソリューションを公開する予定です。これらのアップデートの一環として、WebGLはKHR_parallel_shader_compile 拡張機能を公開しました。これにより、長いシェーダコンパイル時間が完全に非同期になり、WebGLアプリケーションがブロックされなくなります。さらに、個々の描画呼び出しのオーバーヘッドを解決するために、WebGLはマルチドロー 拡張とインスタンスされたマルチドロー 拡張のドラフトを実装し(すべてのブラウザベンダによって実装および承認される予定)、これによりバッチ処理が改善され、CPUに対するオーバーヘッドが大幅に削減されます。さらに、RGTC (BC4 / BC5)およびBPTC (BC6H / BC7)の圧縮テクスチャ拡張機能はコミュニティで承認されており、一部のブラウザでは既に利用可能です。

 

これらの既に利用可能な拡張に加えて、WebGLはプロトタイプWEBGL_video_texture エクステンションを通して、リアルタイムのビデオ処理を改善します。また、どちらもデベロッパから長年の要求となっているBaseVertexBaseInstance に関する拡張機能も現在開発中です。コンピュートシェーダ機能は、WebGL 2.0 Computeドラフト仕様 のプロトタイプ形式で利用できるほか、Intel社の多大な貢献によって、Web上でGLSLによるコンピュートシェーダを開発する簡単な方法を提供します。Chrome Canaryでは、コマンドラインフラグを使用してプロトタイプ機能を有効にする方法の詳細など、公開デモ をご参照いただけます。

さらに、WebGLエコシステムの堅牢性をさらに強化するために、主要なブラウザベンダはWebGL 1.0と2.0のコンフォーマンス・テストスイートとその認証テストに、継続的な努力を注いでいます。

  • glTFユニバーサル・テクスチャ・エクステンションは、BinomialBasis Universal テクノロジを使用して開発中のほか、エンジンに初のプロトタイプサポートが登場

GoogleとBinomialは、オープンソースのテクスチャコンプレッサと高性能トランスコーダ確立のために、BinomialのBasis Universal テクノロジの発表に関する提携を発表しました。Basisは、迅速にトランスコードできるJPEGサイズのテクスチャを、ネイティブな圧縮GPUフォーマットに対応可能とします。トランスコーダは、ネイティブアプリケーションやWebサイトで'.basis'形式のテクスチャを処理するため、C ++およびWebAssemblyコードで利用できます。

Binomialはまた、Basis Universalテクノロジをクロノスに提供し、3D Formats Working Groupと協力して、Basisコンプレッサで超圧縮されたテクスチャを堅牢に指定されたKTX2コンテナにパッケージ化するglTFのユニバーサルテクスチャ・エクステンションを作成しました。KTX2は、ストリーミングとフルランダムアクセスのMIPレベルをサポートしており、一貫性と信頼性のあるクロスベンダの生成、検証、および圧縮テクスチャアセットの使用を実現しています。BasisテクノロジのglTFへの貢献については、クロノスのブログ をご参照ください。

Babylon、CesiumJS、three.js、UX3Dなど、glTF Universal Texturesのプロトタイプサポートを含む、複数のエンジンがすでに出荷されています。これらのインプリメンテーションは、glTFユニバーサル・テクスチャ・エクステンション開発が最終段階にあり、業界のニーズに応えていることを示しています。

  • glTF ツール・エコシステムが、Blender 2.80のユニバーサル・テクスチャ・ツールおよびglTF インポート/エクスポートを含むエクステンションをサポート

3Dフォーマット・ワーキンググループは、glTFエコシステムの進化に対応すべく、広く使用されているすべてのオーサリングツールでネイティブのglTFインポートおよびエクスポートを促進し、有効にするように取り組んでいます。たとえば、Mozilla、クロノス、およびglTFコミュニティが協力して、Blender 2.80 でglTF 2.0のインポートおよびエクスポート機能を構築しました。Blenderは、モデリング、リギング、シミュレーション、アニメーション、レンダリング、合成、モーショントラッキングをサポートする、無料のクロスプラットフォーム・オープンソース3D作成ツールです。Blender 2.80では、BlenderのPrincipled BSDF Shaderノードマップを、glTFのPBRマテリアルにマッピングすることを含め、glTF 2.0をインポートおよびエクスポートできるようになりました。エクスポート時には、DracoベースのglTFメッシュ圧縮を選択できます。

glTFのユニバーサル・テクスチャ・エクステンション提供に備えるために、クロノスはKTXツール (KTXテクスチャの作成、読み取り、圧縮、トランスコード、およびOpenGL®、VulkanおよびWebGLへのアップロードのためのオープンソースライブラリ)など、数多くのオープンソースglTF テクスチャ・ツールを作成しています。このライブラリには、.png画像からKTX2ファイルを作成するための「toktx」と、Basisトランスコーダを使用してKTX2ファイル内の画像を超圧縮画像に変換するための「ktxsc」が含まれます。さらに、クロノスはイメージベースのライティングを含むテクスチャをインタラクティブに生成するための、glTFテクスチャ・ツールを作成しています。

Blender 2.80 glTFインポート/エクスポート、glTF Texture Tools、およびglTF Sample Viewerなど、クロノスのglTF関連新ツールの詳細については、10月22日に開催予定のKhronos Webinar でご紹介する予定です。

  • Vulkanの新エクステンションが公開。Vulkanは、CADおよびプロフェッショナル・オーサリング・ツールの使用増を見込んでいます

アドビシステムズ社初の、オールインワン・クロスデバイス・オンラインビデオ編集アプリであるAdobe Premiere Rush は、Vulkanに対応してAndroid向けに出荷され、プロフェッショナル品質のビデオ編集をAndroidデバイスで可能とします。レンダリングエンジンには、Vulkan上で実行するためにオープンソースのclspvコンパイラ によって、SPIR-Vにコンパイルされた数十万行のOpenCL™Cコードが含まれています。clspvコンパイラはGoogleによって駆動され、VulkanランタイムでOpenCL Cカーネルコードを使用したい開発者のために、その導入の柔軟性を高めています。

Vulkanエコシステムは、特に大規模モデルで、パフォーマンスの向上のために、Vulkanの低CPUオーバーヘッドを活用したい、CADおよびプロフェッショナル・オーサリング・ツールのデベロッパから関心が高まっています。Vulkan ワーキンググループは、OpenGLクラスのラインレンダリングをサポートする、新しいVK_EXT_line_rasterization拡張機能を公開しました。デベロッパは、Vulkan / OpenGLの相互運用機能を使用して、Vulkanの機能をレイトレーシングなどのOpenGLアプリケーションに移行します。デスクトップに依存しないハードウェアベンダは、WindowsおよびLinux上でのVulkanグラフィックス開発用のAMDのV-EZライブラリ など、CADコミュニティがVulkanを使用して開発しやすくするためのミドルウェアを提供しています。

Vulkanワーキンググループは、フレームバッファ作成を容易に可能とするVK_KHR_imageless_framebuffer や、VK_KHR_uniform_buffer_standard_layout といった、デベロッパからのフィードバックに基づいた新しい拡張機能を開発し続けています。これによって、ユニフォームバッファでstd430レイアウトルールを使用できるため、HLSLおよび最新バージョンのOpenGL®からインポートされたシェーダをVulkanで利用しやすくなります。上記の拡張機能はすべてVulkanレポジトリ にあります。

クロノスは、SIGGRAPH会期中に2日間のBird of Feather(BOF)を含む、これらのクロノス標準APIの多くを紹介するセッションを開催します。クロノスはまた、毎年恒例のSIGGRAPHネットワーキングレセプションを開催します。

glTF、WebGL、OpenXR、およびVulkanに関するKhronos BOFセッションは、7月31日(水)に、ロサンゼルス・コンベンション・センター近くのJWマリオットLAライブのDiamond Ballroom 7-10で開催されます。続いて、8月1日(木)には、3D Commerce BOFがコンベンションセンターのRoom 507で開催されます。クロノスBOF Dayに参加するために登録またはバッジを取得する必要はありませんが、木曜日の3D Commerce BOFにはSIGGRAPHバッジが必要です。

毎年恒例のクロノス・ネットワーキング・レセプション:すべてのSIGGRAPH参加者は、クロノスのプレゼンターや他の開発者と交流してクロノスが仕様策定を行う各API、ツール、ヒント、デモ、およびトレンドについて議論するために、ネットワーキングレセプションにご参加いただけます。会員企業のNVIDIA、LunarG、Cesiumのご協賛により、7月31日水曜日の午後5時30分から、BOFと同じ会場でレセプションを行います。

3Dフォーマットエコシステムフォーラム:クロノスは、8月1日(木)にSIGGRAPHで3Dフォーマットエコシステムの進化について議論するセッションも開催します。参加ご希望者は、gltf_invites@khronos.org までお名前、会社名でEメールを送ってください。

Khronos Group(クロノス・グループ)について

The Khronos Groupは、さまざまなプラットフォームやデバイス上で並列コンピューティング、グラフィックス、ビジョン、センサー・プロセッシング、ダイナミック・メディアのオーサリング及び高速化を可能とする、オープンな業界標準の仕様策定を行うコンソーシアムです。クロノスが仕様策定する業界標準にはVulkan®、OpenGL®、OpenGL®ES、OpenGL®SC、WebGL™、SPIR-V™、OpenCL™、SYCL™、OpenVX™、NNEF™、COLLADA™、OpenXR®、3D Commerce™、glTF™などがあります。クロノスの会員は各仕様の策定作業に参画し、一般公開前のさまざまな過程で仕様策定に関する投票できるほか、仕様のドラフトへのアーリーアクセスならびにコンフォーマンス・テストを通して、自身のプラットフォームやアプリケーション開発の期間短縮や機能強化に役立てることができます。

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Khronos, EGL, glTF, NNEF, OpenVG, OpenVX, OpenXR, SPIR, SPIR-V, SYCL, 3D Commerce, Vulkan and WebGL are trademarks or registered trademarks of The Khronos Group Inc. OpenCL is a trademark of Apple Inc. and OpenGL is a registered trademark and the OpenGL ES and OpenGL SC logos are trademarks of Hewlett Packard Enterprise used under license by Khronos. All other product names, trademarks, and/or company names are used solely for identification and belong to their respective owners.