クロノス、AR/VRエコシステムの基盤を確立するOpenXR 1.0を発表

1.0仕様は本日から無料公開し、XR業界からの採用とエコシステムへのサポート拡大を期待

業界を代表するハードウェア/ソフトウェア企業から構成される、オープン・コンソーシアムのクロノス・グループ (以下:クロノス)は、OpenXR® 1.0仕様を承認し、本日より無料公開したと発表しました。OpenXRは、XRと呼ばれる仮想現実(VR)や拡張現実(AR)両プラットフォームおよびデバイスへの高性能なクロスプラットフォームアクセスを提供する、統一されたロイヤリティフリーのオープンスタンダードAPIです。新しい仕様は、クロノスのWebサイト およびGitHub でご覧いただけます。

IntelのリードXRアーキテクトで、OpenXRワーキンググループのチェアを務めるBrent Insko氏は、次のように述べています。「ワーキンググループはOpenXR 1.0の発表を大変うれしく思います。ようやく、ソフトウェア・デベロッパがOpenXRを活用するときがきました。今年3月に公開された暫定仕様に関するコミュニティからのフィードバックは非常に貴重でした。クロノスは引き続き、包括的なテストスイートの完成をはじめ、主要ゲームエンジンのサポートの統合、XRプラットフォームおよびデバイス向けの真のクロスプラットフォーム標準発展のため、活動する予定です。」

暫定仕様書の公開レビュー中に、XRコミュニティからのフィードバックが集まり、OpenXR入力サブシステム、ゲーム・エンジン・エディターのサポート、およびローダーが改善されました。1.0仕様の公開では、ワーキンググループは完全な後方互換性を維持しながら標準を進化させ、ソフトウェア・デベロッパとハードウェアベンダにポータブルなユーザーエクスペリエンスを提供するための強固な基盤を提供します。

OpenXR 1.0の公開に合わせて、Collabora Monado OpenXRオープンソース・インプリメンテーション 、MicrosoftがWindows Mixed Realityヘッドセット用OpenXR Runtime 、Rift向けOculus OpenXRインプリメンテーション、OpenXRの批准によるOculus Questサポート、Epic GamesがUnreal EngineでOpenXR 1.0サポートを発表する予定です。このように、会員企業によるOpenXRインプリメンテーションが今週公開される予定で、OpenXRはクロノスの会員企業から継続的なエコシステムサポートを受けています。

SIGGRAPH 2019では、OpenXRワーキンググループのEpic Games、Microsoft、およびVarjoが、同一のOpenXR APIを使用しながら、異なるVRプラットフォームとARプラットフォームをターゲットとするXRアプリケーションをデモし、OpenXRがアプリケーションの移植性による業界間のコンフリクトを減らす方法を示します。このデモンストレーションは、7月31日(火)に開催されるクロノスBOF Daysの午後1時からのOpenXRセッション で行われます。当日は、BOFならびにBOF終了後に行われるクロノス・ネットワーキング・レセプションどちらも、入場は無料で、どなたでもご参加いただけます。

OpenXR 1.0に対する業界サポート

Daryl Sartain氏(AMD XR担当ディレクタ)

「OpenXR 1.0の発表は大きな節目であり、AMDはその仕様策定に加わったことを誇りに思います。拡大しているXR業界とエコシステムは、引き続きAMDにとって重要な関心時であり、OpenXR 1.0による市場成長の可能性に私たちは大いに注目しています」

Roger Barker氏(Arm、Immersive Experience Group IPソリューション担当ディレクタ)

「Armは、次世代の制約のない独立型のAR / VRデバイスを推進する技術革新の開発に注力しています。OpenXR 1.0の公開により、クロスプラットフォームのXRアプリケーションに対する障壁を打破できると同時に、これらの複雑で没入型の使用事例をサポートするために必要な、パフォーマンスと効率性がもたらされます」

Ryan Pavlik氏(Collabora、プリンシパルXRエンジニア、OpenXR仕様編集責任者)

「オープンソースとオープンスタンダードに対する揺るぎないコミットメントの一環として、CollaboraはOpenXR 1.0の公開に貢献できたことを誇りに思います。XRの未来が、真にオープンかつすべてのハードウェアベンダにアクセス可能であることを保証するために、OpenXR用のMonadoオープンソースランタイムを開発しています。OpenXR仕様の編集責任者として、このワーキンググループの熱心な取り組みと、今回の公開に貢献したコミュニティのフィードバックに感謝します」

Attila Maczak氏(CTRL-labs、ソフトウェア・アーキテクト)

「OpenXR 1.0は、私たちに多くの重要な新しいインターフェースプラットフォームの連携を可能とします。CTRL-labsは、この重要な前進に貢献し、デベロッパがニューラルインターフェースを探索するために必要なツールを提供できることに大きな喜びを感じています」

Jules Blok氏(Epic Games)

業界標準の策定のために努力してきたクロノス・グループの会員全員と一緒に、OpenXR 1.0をサポートすることに大変興奮しています。Unreal EngineはOpenXR 0.9暫定仕様のサポートを先導しました。Unreal Engineは、OpenXR 0.9暫定仕様のサポートを主導してきましたが、ハードウェアパートナーと共同で1.0仕様の推進を楽しみにしています。Epicは、オープンスタンダードがテクノロジを推進し、デジタルエコシステム間のギャップを埋めるために不可欠であると考えています」

Nate Mitchell氏(Oculus共同設立者、Facebook VR製品部門責任者)

「FacebookとOculusは、OpenXR標準がユーザとデベロッパに提供する価値を強く信じています。私たちは、RiftおよびQuestプラットフォームで、OpenXR 1.0上に構築されたアプリケーションにランタイムサポートを提供する予定です」

Brandon Jones氏(Google、WebXR仕様編集責任者)

「WebXRは、ブラウザとバーチャル・リアリティまたは拡張現実デバイスとの間の通信レイヤを提供するために、OpenXRのようなAPIに依存しています。InmersiveWebワーキンググループは、サポートされるハードウェアの範囲を広げながら、WebXRインプリメンターの開発および保守の負担を軽減する可能性があるため、OpenXRのサポートが広く利用できるようになることに興奮しています」

Vinay Narayan 氏(HTC、プラットフォーム戦略担当バイスプレジデント)

「HTC VIVEは、XR業界で実行可能なエコシステムの構築に取り組んでいます。業界標準とベストプラクティスを定義するためにコミュニティを結びつけることで、私たち全員が共に前進することができます」

Don Box氏(Microsoft、テクニカル・フェロー)

「モバイルコンピューティングの時代は制約が多く、最終的には閉鎖的なエコシステムの制約を受けました。今日、マイクロソフトはすべてのWindows Mixed RealityおよびHoloLens 2ユーザのために、複合現実(MR)をサポートする初のOpenXR 1.0ランタイムの公開を誇りに思います。HoloLens 2ハンドトラッキング、アイトラッキング、空間マッピング、および空間アンカーを、年末までに全面的にサポートしながら、OpenXRコミュニティと協力して、複合現実感を実現するための主要な拡張機能の設計を行う予定です」

David Weinstein氏(NVIDIA、バーチャル・リアリティ担当ディレクタ)

「この重要な1.0仕様公開について、OpenXRチームに祝福を申し上げたいと思います。OpenXR 1.0の柔軟で拡張可能な設計は、XRアプリケーションを加速し、さらに新しいXRの導入を可能にする革新的な次世代グラフィックテクノロジをサポートします」

Jared Cheshier氏(Pluto VR、CTO)

「OpenXRは、デベロッパが幅広いプラットフォームやデバイスを、より簡単にサポートするための強固な基盤を提供します。1.0仕様は画期的なマイルストーンであり、ほんの始まりにすぎません。1.0仕様の公開は、デベロッパが機能を実験し拡張するための新たな扉を開き、VR/AR業界を未来へと導きます」

Denny Röngngren氏(Tobii、アーキテクト)

「この重要なマイルストーンがようやく完成したことを、嬉しく思います。OpenXRが、さまざまなデバイスに渡ってXRアプリケーションを作成する際の障壁を低くするというコミットメントに感銘しています。OpenXR 1.0が公開され、これから業界での採用が増えると予想されるので、Tobiiは視線の相互作用と中心的なレンダリングのためにOpenXRエクステンションを通して、アイトラッキングのサポートを開始するため、熱心に取り組んでまいります」

Ralph Hauwert氏(Unity Technologies、プラットフォーム担当バイスプレジデント)

「Unityは、オープンでアクセス可能なプラットフォームであることをコミットメントし、XRアプリケーションとデバイスのためのオープンスタンダードを支持し続けます。OpenXRの公開は、オープンなエコシステムへの大きな一歩だと信じています」

Joe Ludwig氏(Valve、プログラマ)

「OpenXRはVRにとって重要なマイルストーンです。このAPIは、ゲームや他のアプリケーションが独自のSDKなしで、さまざまなハードウェアプラットフォームで簡単に動作することを可能にします。Valveは、このオープンスタンダードを作成するために、他のVR業界のリーダーと密接に協力してきたことを嬉しく思い、SteamVRでそれをサポートすることを楽しみにしています」

Rémi Arnaud氏(Varjo、プリンシパル・アーキテクト)

「Varjoは、現実とデジタルの世界を人間の目の解像度でシームレスに融合することによって、世界で最も革新的なVR / AR / XRのハードウェアとソフトウェアを生み出しています。私たちは、OpenXR 1.0仕様の公開を大変うれしく思います。それは、エンタープライズコミュニティが今日の市場で最高のXRテクノロジと互換性があり、容易にアクセスできるようにする一方で、将来のイノベーションに対する障壁を取り除いているからです」

Khronos Group(クロノス・グループ)について

The Khronos Groupは、さまざまなプラットフォームやデバイス上で並列コンピューティング、グラフィックス、ビジョン、センサー・プロセッシング、ダイナミック・メディアのオーサリング及び高速化を可能とする、オープンな業界標準の仕様策定を行うコンソーシアムです。クロノスが仕様策定する業界標準にはVulkan®、OpenGL®、OpenGL®ES、OpenGL®SC、WebGL™、SPIR-V™、OpenCL™、SYCL™、OpenVX™、NNEF™、COLLADA™、OpenXR®、3D Commerce™、glTF™などがあります。クロノスの会員は各仕様の策定作業に参画し、一般公開前のさまざまな過程で仕様策定に関する投票できるほか、仕様のドラフトへのアーリーアクセスならびにコンフォーマンス・テストを通して、自身のプラットフォームやアプリケーション開発の期間短縮や機能強化に役立てることができます。

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