クロノス・グループ、AR/VRプラットフォーム並びに各種デバイスへの高性能アクセスを実現する「OpenXR 0.90」暫定仕様を発表

業界を代表するハードウェア/ソフトウェア企業から構成される、オープン・コンソーシアムのクロノス・グループは(以下、クロノス)OpenXR™0.90暫定仕様を批准し、公開したと発表しました。OpenXRは、拡張現実(AR)および仮想現実感(VR)(両者を総称してXRと呼ばれる)プラットフォームおよびデバイスへの高性能アクセスを提供する、統一された、ロイヤリティフリーのオープンスタンダードです。新仕様は、デベロッパならびにインプリメンターがOpenXRフォーラムでフィードバックできるように、クロノスのWebサイトで暫定的な形式で公開されています。

暫定公開されたOpenXR 0.90では、XRハードウェア・プラットフォーム・ベンダがランタイムシステムの機能を公開可能とする、クロスプラットフォームのアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)を規定しています。アプリケーションのライフサイクル、レンダリング、トラッキング、フレームタイミング、および入力に対応する共通のオブジェクトと関数セットにアクセスすることで、既存のベンダ各社固有のAPIへの対応について苦慮しているソフトウェアデベロッパが、最小限のポーティング作業で複数のXRシステムでアプリケーションを実行可能となり、業界内の分断化を最小限に抑えることができます。

クロノスのOpenXRワーキンググループは、主要なXR企業各社の支援と参加を得て、2017年初めに結成されました。仕様の策定作業を通して、複数のクロノス会員企業が、堅牢で完全な仕様を保証するために、個々にインプリメンテーションを開発してきました。Collaboraの「Monado」OpenXRオープンソースインプリメンテーションMicrosoftのWindows Mixed Realityヘッドセット用OpenXRランタイム、4.22.1発表後にサポートが始まったEpicのOpenXR Unreal Engineプラグインのソースコードなど、これらのインプリメンテーションの多くは、デベロッパが現在評価できるようになっています。さらに、Oculusは2019年後半にRiftおよびQuestプラットフォーム上で、OpenXRのランタイムサポートを提供する予定です。各社のインプリメンテーションへのリンクおよび詳細情報は、https://www.khronos.org/openxrをご参照ください。

Intelのリードアーキテクトで、OpenXRワーキンググループのチェアを務めるBrent Insko氏は、次のように語って居ます。「OpenXRはAR / VRソフトウェアの開発を簡素化し、アプリケーションコードのポーティングやリライトをすることなく、より幅広いハードウェアプラットフォームにアクセスし、またOpenXRをサポートするプラットフォームベンダーがより多くのアプリケーションにアクセス可能となることを目指しています。OpenXRの暫定仕様は、今回の発表から数週間後に公開されるランタイムとともに、アプリケーションデベロッパとエンジンデベロッパによる実践的なクロスプラットフォームテストを可能とするものです。ワーキンググループは、OpenXR 1.0仕様策定をXR業界のニーズに確実に応えられるものとするために、デベロッパからのフィードバックを歓迎します」

OpenXR 0.90暫定仕様に対する各社のコメント

Nandan Nayampally, vice president and general manager, Client Line of Business, Arm

「OpenXRのようなオープンスタンダードの策定作業に、業界を代表する多くの企業が参画する事は、とても重要です。私たちは、クロスプラットフォームのXRアプリケーションに対する障壁を減らすことが、VRとAR業界の成長やイノベーション、そして多様性を加速すると信じており、新仕様が多くの企業から採用されることを楽しみにしています」

Philippe Kalaf, CEO, Collabora

「ロイヤリティ不要のオープンスタンダードとオープン・ソース・テクノロジに尽力しているCollaboraは、OpenXRワーキンググループのメンバーであり、最初の仕様公開に関わった1社であることを誇りに思っています。新たに公開されたOpenXR仕様のソースインプリメンテーションのMonadoは、単なるベンダSDKではなく、XRテクノロジを中心とした幅広いコミュニティの取り組みに焦点を当てた、オープンソースプロジェクトおよびコードベースです。Collaboraは、XRデバイスベンダにXR製品用のLinuxベースのプラットフォームを使用する選択肢を提供しながら、LinuxにXRテクノロジを導入できる技術基盤の提供を計画しています」

Tim Sweeney, founder and CEO of Epic Games

「Epicは、OpenXRのようなオープンスタンダードが、今後数年間で活気に満ちたマルチプラットフォームVRおよびAR業界にとって、不可欠な基盤になると考えています。Epicは、昨年のSIGGRAPHで業界初のOpenXRデモを紹介しましたが、GDCでは今回公開された新仕様に基づくデモを行う予定です。当社のコミットメントを示すものとして、間もなく公開されるUnreal Engineバージョン4.22.1では、OpenXRのサポートを発表する予定であり、コミュニティは直ちに作業を開始していただけるものと考えています」

Nate Mitchell, Oculus Co-founder and head of VR product, Facebook

「FacebookとOculusは、OpenXR標準の価値がユーザとデベロッパに提供され続けることを信じています。私たちは、2019年後半にRiftならびにQuest platform上OpenxR 1.0にビルトインしたアプリケーションのランタイムサポートを計画しています」

Vinay Narayan, vice president, Platform Strategy, HTC

「HTC VIVEは、XR業界のための実行可能なエコシステムの構築に取り組んでいます。標準とベストプラクティスを定義するためにコミュニティを結びつけることで、私たち全員が一緒に前進することができることを確信しています」

Alex Kipman, technical fellow at Microsoft.

「マイクロソフトは、複合現実を繁栄させるためには、オープンストア、オープンブラウザ、そしてオープンなデベロッパプラットフォームのためにオープンでなければならないと信じています。私たちは昨年のSIGGRAPHでOpenXRのランタイムデモを行いましたが、今年はOpenXRの仕様公開に合わせて、Windows Mixed RealityとHoloLens 2でのOpenXRサポートを発表することを、嬉しく思います。デベロッパが、OpenXR暫定仕様に関するフィードバックを提供できるようにするために、Windows Mixed Realityヘッドセットをサポートする、OpenXRランタイムのデベロッパ向けプレビュー版を本日公開する予定です」

David Weinstein, director of Virtual Reality at NVIDIA

「クロスデバイス互換アプリケーション用の、オープンで広くサポートされるAPI であるOpenXRは、XRエコシステムを推進する重要な役割を果たすでしょう。OpenXRは、高性能HMDとVRに特化した強力なGPU機能を含む、過去数年間にわたるXR分野の目覚ましい進歩の上に成り立っています」

Henrik Eskilsson, CEO of Tobii

「Tobiiは長年、OpenXRイニシアチブの一員としてこの活動に取り組んで来ました。オープンスタンダードのマルチプラットフォームAPIは、デベロッパがXRアプリケーションに対して統一された予測可能な方法で、アイトラッキングを導入できる大きな可能性を秘めていると考えています。OpenXRは、複数のプラットフォームやデバイスをサポートする複雑さを軽減し、デベロッパが素晴らしいコンテンツ開発に、より多くの時間を費やすことを可能とするものです」

Ralph Hauwert, vice president of platforms at Unity Technologies

「Unityは、オープンでアクセス可能なプラットフォームであり、XRアプリケーションとデバイスのオープンスタンダードを支持しています。そのために、OpenXRの公開を大変うれしく思うとともに、これはよりオープンなエコシステムへの重要な一歩であると信じています」

Rémi Arnaud, principal architect at Varjo

「Varjoでは、最高の視覚的忠実度を持つ企業に対して、実用レベルのプロフェッショナルなバーチャルリアリティを推進しています。そのために、私たちには企業が最良のテクノロジと相互運用するのを容易にする標準が必要であり、VarjoはOpenXRのサポートを約束しています」

Khronos Group(クロノス・グループ)について

The Khronos Groupは、さまざまなプラットフォームやデバイス上で並列コンピューティング、グラフィックス、ビジョン、センサー・プロセッシング、ダイナミック・メディアのオーサリング及び高速化を可能とする、オープンな業界標準の仕様策定を行うコンソーシアムです。クロノスが仕様策定する業界標準にはVulkan®、OpenGL®、OpenGL®ES、OpenGL®SC、WebGL™、SPIR-V™、OpenCL™、SYCL™、OpenVX™、NNEF™、COLLADA™、OpenXR™、glTF™などがあります。クロノスの会員は各仕様の策定作業に参画し、一般公開前のさまざまな過程で仕様策定に関する投票を行うことができるほか、仕様のドラフトへのアーリーアクセスならびにコンフォーマンス・テストを通して、自身のプラットフォームやアプリケーション開発の期間短縮や機能強化に役立てることができます。

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