新しいglTFの拡張機能により3Dアセットの見た目のリアリズムが向上

屈折、色の減衰、体積のプロパティに対応するglTFの拡張機能は、業界をリードするビューアやレンダラーにおいて既に出荷

米国オレゴン州ビーバートン - 2021713 - 業界をリードする企業によって構成されるオープンコンソーシアムで、高機能で相互運用が可能な標準規格を作成する Khronos® Group は本日、Khronos glTF ™ 3Dアセットフォーマット用の最新のPBR(Physically Based Rendering)マテリアル拡張機能のセットを公開したことを発表しました。glTFは、ウェブブラウザ、モバイル機器、PCデスクトップ、クラウドなどの様々なプラットフォーム上で、3Dシーンやモデルを効率的にランタイム伝送およびロードするために設計された、Khronosの柔軟でロイヤリティフリーのアセットフォーマットです。Babylon.js、GoogleのFilament、three.jsなどの主要なレンダリングエンジンは、AdobeのSubstance 3D Stager、Dassault Systèmesの3DEXPERIENCE Platform、DGG RapidCompact、UX3DのGestaltorなどのアプリケーションとともに、新しいPBRエクステンションの一部またはすべてをすでに対応しています。

Ray-traced render, click to launch realtime demoRay-traced render, click to launch realtime demo.glTF ガラスドームの下に置かれたオリーブの3Dモデル。IOR、Specular、Transmission、Volumeの各PBR拡張機能を使用して、半透明の素材に反射と屈折を追加。Dassault Systèmes Enterprise PBR Sample Rendererによりレイトレース。

Model copyright 2021 Wayfair LLC, CC BY 4.0

3D Formats PBR タスクサブグループの議長でAnalytical Graphics社のEd Mackeyは「今回のglTFのPBRモデルの強化は、レイトレース、パストレース、リアルタイムレンダリングの各実装間のマテリアルの互換性の水準を高めるものです。これにより、リアルタイムエンジンやビューアに対応しつつ、ボリューム効果を含む、よりリアルなアセットを実現することができます。アーティストや開発者の皆様のご自身の3Dアセットにこれらの新機能を使って頂けることを嬉しく思います。Khronosは現在、「Iridescence」や「Anisotropy」を含む将来のPBRの拡張機能に取り組んでおり、業界やコミュニティからのフィードバック をお待ちしております」と述べています。

Physically Based Rendering(物理ベースレンダリング)は、実世界のオブジェクトの物理的な特性をモデル化することで、リアルな結果を生み出します。開発者やアーティストは、実際の素材の物理的特性に対応するパラメータを制御することで、フォトリアリスティックな3Dアセットを作成することができます。以下の3つの新しい拡張機能は、既存のglTF 2.0のPBR機能をベースにして、屈折、ボリュームベースの吸収、複雑な鏡面反射を追加することで拡張されています。

  • KHR_materials_ior : 屈折率(Index of Refraction)とは、光が物体を通過する際にどのように散乱するかを表すものです。アーティストがIOR値をコントロールできるようになると、空気、水、目、ガラス、サファイア、ダイヤモンドなど、さまざまな透明素材をよりリアルに表現することが可能です。

  • KHR_materials_volume : ボリュームの拡張機能は、メッシュサーフェスをボリュームとの間のインターフェイスとして機能させ、透明なマテリアルに見られるような、よりリアルな屈折・吸収特性を実現します。この拡張機能は、半透明のマテリアルに深みと重厚感を与えます。レイトレーシングができないリアルタイムエンジンにおいて、このエクステンションが厚みのテクスチャマップを提供するので、マテリアルのボリュームと相互作用する光の近似を高速に可能にします。
  • KHR_materials_specular : スペキュラ特性とは、オブジェクトの鏡のような特性のことで、光を規則的に反射し、他のオブジェクトのコヒーレント反射を作り出すことができるものです。前身のKHR_materials_pbrSpecularGlossinessとは異なり、この新しいスペキュラー拡張機能は、glTFのPBRマテリアルモデルの中核となる最新のメタリック/ラフネスのワークフローの中で動作し、一連の高度なPBRマテリアル拡張機能と互換性のあるカラーのスペキュラーハイライトを可能にします。

これらの拡張機能により、より幅広い範囲のシーンやオブジェクトを3Dアセットとしてリアルに表現できるようになります。例えば、Eコマース向けの商品のバーチャルでの写真撮影をアーティストがより綺麗に作成することが可能になります。

Khronos3D Commerceワーキンググループの議長であるWayfair社のShrenik Sadalgiは、「オンラインショッピングの利用者は、利用しているプラットフォームに関わらず、リアルで美しい商品画像をオンライン体験の一部として期待するようになってきています。今回のPBRの最新機能は、特に "家"のようなスタイルが重要となるカテゴリーで、商品のモデルを最も視覚的にリアルな素材で目を引かせる必要がある小売業者にとって、大きな変化をもたらすものです。glTFは、長い間、最も汎用性の高い3Dリアルタイムファイルフォーマットであり、glTFのPBRモデルが成熟するにつれ、消費者の目を引き、想像力をかき立てる3Dオブジェクトの力はますます大きくなるでしょう。」と述べています。

新たに承認されたPBRの拡張機能は、Khronos glTF Sample Viewer 、UX3DのGestaltor、Babylon.jsにおいて既に完全に対応されています。

IOR、Specular、Transmission、Volumeの各PBR拡張機能を用いて、半透明の素材に反射や屈折を加えた、蚊が琥珀の中にいる3Dモデル。Babylon.jsのSandboxでリアルタイムにレンダリングされています。
Model by Loïc Norgeot and mosquito scan by Geoffrey Marchal for Sketchfab licensed under CC BY 4.0

3D Formats のワーキンググループの議長であるオートデスク社のBrent Scannellは、「glTFは様々な市場やアプリケーションで使用されているため、市場へ最大限に影響を与えるために、仕様の進化に優先順位をつけることが極めて重要です。私たちは、Khronosの 3D Commerceワーキンググループのメンバー達のように、現実世界で3Dアセットを展開している主要な企業から精力的な参加を得られたことは幸運でした。これらの企業は、要件、フィードバック、時間、エネルギー、そしてglTFを前進させるための専門知識を提供してくれています。これらの新しいglTF PBR拡張機能は、普及したデバイスやプラットフォームに新たな段階のフォトリアリズムをもたらします。」と述べています。

業界からの対応

“The new PBR Next extensions represent an important step forward in increasing the visual fidelity of portable 3D assets and improve interoperability with other shading models in the ecosystem. Autodesk is excited to be part of this initiative and supporting these extensions going forward”.
-- Henrik Edstrom, Senior software architect, Graphics technology, Autodesk

“From path tracing to GPU ray tracing to mobile rasterization, these new PBR Next extensions for glTF represent a step forward in interoperability for efficient runtime transmission of Physically Based Rendering materials. This interoperability will increase the availability of 3D content with PBR materials and accelerate the adoption of consistent PBR across rendering engines.”

-- Patrick Cozzi, CEO, Cesium

“Getting consistent renderings of shiny objects from real-time and offline engines has been an open problem for way too long. This problem was even more pronounced for realistic-looking transparent objects made from materials like glass, sapphire, or diamond. I am extremely happy that this second wave of glTF PBR extensions addresses this problem by introducing a state-of-the-art, yet widely acknowledged standard. This will turn out to be another fundamental cornerstone for reliable product visualization.”
-- Dr. Jan Meseth, holistic visualization technology director, Dassault Systèmes

“With our glTF output files supporting these brand-new PBR extensions, our RapidCompact clients are getting yet another step closer to the photorealistic quality they know from offline CGI… but now in real-time settings. It’s quite exciting to push things forward together with Khronos, and to see how glTF is currently setting a high quality standard as the world’s leading format for real-time 3D content.”
-- Dr. Max Limper, CTO, DGG and co-chair at Khronos 3D Commerce Asset Creation TSG

“These new glTF extensions allow us to visualize important material effects for products in a standardized way using real-time rendering - which used to be the sole domain of offline rendering. UX3D’s Gestaltor supports these new material extensions to enrich glTF since day one of their ratification.”
-- Norbert Nopper, managing director, UX3D

glTFについて、そしてコミュニティへのフィードバックのお願い

KhronosのglTF™(GL Transmission Format)は、eコマース、地理空間、バーチャルリアリティ、拡張現実、ビジュアライゼーション、教育、デザインなど、様々な市場のエンジンやアプリケーションが、3Dシーンやモデルを効率的に伝送し、ロードするためのロイヤリティフリーの仕様です。 glTFは、業界全体で3Dコンテンツの相互運用を可能にすることで、オーサリングワークフローやインタラクティブサービスを効率化する拡張可能なパブリッシングフォーマットを定義しています。その結果、glTFアセットは、ハイエンドのワークステーションやスーパーコンピュータだけでなく、携帯電話やWebブラウザでもレンダリングできるほど効率的になっています。

glTFアセットを開発・配布するためのツールやリポジトリ、そしてそれらのglTFモデルを使うエンジン、アプリケーション、小売業者などで幅広く対応されており、glTFに対する業界の勢いは高まり続けています。Khronos の3D Formats と 3D Commerce のワーキンググループは、glTFを積極的に進化させており、実装する方々、エンジンの開発をされる方々、コンテンツを制作される方々、アーティストの方々、各eコマース企業からの意見やフィードバックをお待ちしております。glTFの仕様とエコシステムの進化に直接参加して関わりたい企業の方は、是非、Khronosグループにご参加ください。

Khronosについて

Khronos グループは、150以上の業界をリードする企業からなるオープンな非営利のメンバー主導のコンソーシアムであり、3Dグラフィックス、AR、VR、並列プログラミング、ビジョンアクセラレーション、機械学習のための最新でロイヤリティフリーの相互運用可能な標準規格を作成しています。Khronosの活動には3D Commerce™、ANARI™、glTF™、NNEF™、OpenCL™、OpenGL®、OpenGL® ES、OpenVG™、OpenVX™、OpenXR™、SPIR-V™、SYCL™、Vulkan®、WebGL™が含まれます。Khronosのメンバーは、Khronosが制定する仕様の開発と発展を推進し、仕様のドラフトと適合性テストへの早期アクセスを通じて、最先端のプラットフォームとアプリケーションの提供を加速することができます。