KhronosがglTF PBR 3Dマテリアル向けの新しい機能を相次いでリリース

物理ベースのレンダリングの新しいエクステンション、クリアコート、トランスミッション(透過)、Sheen(光沢)により、引き続き、glTFを使ったエコシステムに強力で相互運用可能なマテリアルモデルを作ることが可能に

オレゴン州ビーバートン- 2020123 - 業界をリードする企業によって構成されるオープンコンソーシアムで、高機能で相互運用が可能な標準規格を作成する Khronos® Group は、本日、glTF™向けの物理ベースレンダリング(PBR)のマテリアルに使える一連のエクステンションのリリースを発表しました。glTF は、業界において「3DのJPEG」として知られており、3Dシーンとモデルを普及させ、効率的に送信したり読み込んだりする為のKhronosによるロイヤリティフリーのフォーマットです。PBRを使用すると、開発者とアーティストは、3Dアセット内のマテリアルに設定された実世界の物理的プロパティに対応するレンダリングパラメータを通じて写真のようにリアルな表現を実現することができます。クリアコート、トランスミッション(透過)、Sheen(光沢)用に作られたこれらの新しいエクステンションは、glTF 2.0の既存のPBR機能に基づいて構築されており、今後追加される拡張機能とともに、glTFを使ったエコシステム向けに強力で相互運用可能な物理ベースのマテリアルモデルを作り上げていきます。

glTFの新しい3つのPBRエクステンションの使用例を示すおもちゃの車のモデル

Guido Odendahl氏によるモデル。ダッソー・システムズのステラパストレーサーによってビジュアライズ、CC0 ライセンスに基づいて配信

既存の主なglTF2.0 PBRマテリアルでは、ベースカラー、メタルネス、ラフネス、エミッション、法線マップ、およびベイクされたアンビエントオクルージョンのパラメータが定義されています。これにより、モバイルデバイスを含むさまざまなプラットフォームの性能に合わせてスケーラブルでありながら、あらゆるレンダリングAPIやビューアでも利用可能な、高品質で視覚的にもリアルな3Dアセット向けの強力でありつつも実装が簡単なPBRモデルを作成することが可能です。モデルによって提供されるシェーダーコードを使うのではなく、物理プロパティに基づいたレンダリング パラメーターを定義することにより、表示エンジンとアプリケーションは、見た目の一貫性を保ちつつ、独自のレンダリングシェーダーを実装し、最適化することが可能です。

今回、Khronos の3D Formats のワーキンググループは、クリアコート、トランスミッション(透過)、およびSheen(光沢)用のマテリアルパラメータをglTFのエクステンション としてリリースすることにより、glTFのPBRのコア機能を拡張します。

  • KHR_materials_clearcoatエクステンション は、輝きと艶のレイヤを追加します。自動車業界にとって重要なグラフィック要素で、たとえば、不自然な輝きを生み出す可能性のあるエネルギー保存の法則に違反することなく、リアルな塗装仕上げを見せる為のものです。
  • KHR_materials_transmissionエクステンション は、ガラス、ステンドグラス、水、及び透明または若干着色されたプラスチックなどの材料の物理的に正確な近似値を提供するために、光沢の透過面上に見えるであろう鏡面反射を維持し、素材を通過する光を見せるものです。このエクステンションは、ベースのglTF のPBRモデルの「ラフネス」を使用して、透過率をぼかします。この最初のバージョンでは、薄い厚さの透過に対応しています。ただ、このエクステンションは厚いボリュームのある素材の定義をする可能性のある将来のマテリアルのプロパティと互換性を保つように設計されています。
  • KHR_materials_sheenエクステンション は、布のマイクロファイバーにあたった際の光の効果をシミュレートするためにSheenラフネスとSheenカラーチャンネルが提供されます。これは、アパレルや家具や布や起毛素材で作られたものを作成しているアーティストにはなくてはならないものです。

「Khronosの3D Formatsのワーキンググループは、相互運用可能なPBRに関する業界のコンセンサスを構築し、glTFを手段として使用して、さまざまなプラットフォームやデバイスに展開できるようにするために取り組んでいる、業界をリードする多くの専門家を迎えることができて幸運です」とKhronosの代表であるニールトレヴェットは述べています。「また、Khronosの3D Commerceのワーキンググループにおけるテクノロジー企業とeコマース企業のユニークな組み合わせは、実際の業務に基づいた知見を産み出し、それがglTFのPBRのロードマップを発展させるのに必要な情報やきっかけとなっています。」

MicrosoftのBabylon.js、GoogleのFilament、three.jsなどの主要なレンダリングエンジンは、AdobeのDimension(プレリリースチャネル)、Blender、UX3DのGestaltor、AGIのSystems Tool Kit(STK)などのアプリケーションとともに、新しいPBRのエクステンションの一部またはすべてをすでにサポートしています。これらの新しいPBRでできることが確認可能なサンプルのアセットは、公式のglTFサンプルモデルリポジトリで 入手可能です。


Babylon.jsを使用した同じおもちゃの車のglTFモデルのリアルタイムレンダリング

上記で紹介したオフラインのパストレース画像と比較した際と同じ見た目であることを示す例

今後のglTFのPBRエクステンションには、サブサーフェイススキャッタリング(表面下散乱)、光減衰、屈折率、異方性など、glTFのPBRのモデルとシームレスに相互作用する最新のマテリアルプロパティが含まれる予定です。Khronosは、実際にお使いになる方、エンジンの開発者、コンテンツクリエーター、アーティストから、glTFのPBRモデルロードマップに反映させるためのフィードバックやリクエストをお待ちしております。詳しくはGitHubの「glTFに貢献する方法 」を参照するか、Twitter でお問い合わせください。glTFの仕様とエコシステムの進化にご支援頂いたり、3D Formatワーキンググループに直接参加したい企業方がいらっしゃいましたら、是非Khronos Group にご参加いただき、Khronosの標準規格を作成するすべての活動をご利用下さい。

業界によるglTF2.0および次世代のPBRの対応

“These new PBR extensions are the beginnings of a broadly interoperable, sophisticated physically-based material model for the glTF ecosystem. From these extensions and the ones that will follow, we expect to see improved visual fidelity across a range of industries from retail to games to scientific visualization - and digital mission engineering with AGI’s Systems Tool Kit (STK),” said Ed Mackey, Khronos PBR TSG chair, and advisory software developer, Analytical Graphics, Inc.

You can’t discuss modern 3D publishing formats without mentioning glTF, and Autodesk is proud to be part of the glTF file format adopter program as we push toward integration in our content creation tools. Initiatives such as PBR Next are closely aligned with our own vision of next generation material models, following the stringent demands of our customers seeking the very best in photorealism. We are thrilled to play a part in the development of glTF, sharing our knowledge and learning from others, as well as accelerating the adoption of new extensions,” said Brent Scannell, product manager at Autodesk.

“Realistic representation of products and the environment is a critical contribution for the experience economy. The new PBR extensions add precision and emotion to virtual representations of the real world, driving deeper engagement with people everywhere,” said Tom Acland, CEO at Dassault Systèmes, 3DEXCITE.

“The next generation PBR extensions for glTF will allow us to optimize and deploy many more 3D models of our clients as photorealistic real-time assets, even when they include complex or tricky real-world materials, like coated surfaces or velvet,” said Dr. Max Limper, CEO at DGG and Khronos 3D Commerce Asset Creation TSG co-chair.

“The realism of the 3D rendering is a key part of the user experience, even more so when it comes to interactive product visualization and augmented reality for eCommerce. The latest glTF PBR extensions are a major step forward as they make it possible to support more complex materials and so extend the scope of products that can be shown with realistic 3D rendering in a standardized way across different platforms,” said Aurélien Vaysset, co-founder and CEO of Emersya.

“We have to manage a lot of 3D data from different applications. We need to export polygons, share UV mappings and textures between different software, but the real challenge is in how the surface reacts to light and its standardization. I remember a lot of GDC shader standardization round tables, and finally today Khronos is delivering glTF PBR extensions for greater accuracy and realism,” said Fabrizio Dini, COO at Invrsion.

“Glass, liquids, fabrics and coated surfaces make up a big part of the world surrounding us. We are excited that glTF can now represent such materials with high fidelity, enabling the deployment of more realistic 3D assets and believable virtual worlds. These new extensions are fully compatible with the NVIDIA Material Definition Language (MDL), enabling the seamless display of all glTF materials by MDL enabled renderers. We look forward to rendering all the great content artists will exchange using glTF!,” said Jan Jordan, senior software product manager MDL, NVIDIA.

“The new extensions enhance the glTF material system to improve the realism of 3D content and products. These important new material features again empower glTF to be the JPEG for 3D. We are supporting these new glTF extensions from day one in our visual glTF editor Gestaltor,” said Norbert Nopper, managing director at UX3D.

“The latest glTF PBR extensions, such as Sheen, Transmission and Clearcoat, are narrowing the gap between virtual and real products, giving developers and artists the tools to create incredibly lifelike 3D models. Wayfair is excited to be part of this ongoing effort to push the state of the art forward by building open and interoperable standards. This latest set of glTF extensions will raise the bar for virtual product quality online and in turn benefit the entire retail industry. We are proud to be actively contributing toward this effort by driving the requirements and development of the extensions and standards, while serving our customers the most realistic and accurate representation of products to virtually view in their space,” said Shrenik Sadalgi, chair of the 3D Commerce Working Group & director of R&D at Wayfair.

Khronosについて

Khronos Groupは、150以上の業界をリードする企業からなるオープンな非営利のメンバー主導のコンソーシアムであり、3Dグラフィックス、AR、VR、並列プログラミング、ビジョンアクセラレーション、機械学習のための最新でロイヤリティフリーの相互運用可能な標準規格を作成しています。Khronosの活動には、3D Commerce™、ANARI™、glTF™、NNEF™、OpenCL™、OpenGL®、OpenGL®ES、OpenVG™、OpenVX™、OpenXR™、SPIR-V™、SYCL™、Vulkan®、およびWebGL™が含まれます。Khronosのメンバーは、Khronosが制定する仕様の開発と発展を推進し、仕様のドラフトと適合性テストへの早期アクセスを通じて、最先端のプラットフォームとアプリケーションの提供を加速することができます。

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Khronos®およびVulkan®は登録商標であり、ANARI™、WebGL™、glTF™、NNEF™、OpenVX™、SPIR™、SPIR-V™、SYCL™、OpenVG™、および3DCommerce™はKhronos Group Inc.の商標です。 OpenXR™は、Khronos Group Inc.が所有する商標であり、中国、欧州連合、日本、および英国で商標として登録されています。OpenCL™はApple Inc.の商標であり、OpenGL®は登録商標であり、OpenGLES™およびOpenGLSC™のロゴはKhronosのライセンスに基づいて使用されるHewlett Packard Enterpriseの商標です。他のすべての製品名、商標、および/または会社名は、識別のためにのみ使用され、それぞれの所有者に帰属します。

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