Khronosがスケーラブルな3Dデータビジュアライゼーション向けのANARI 1.0 Provisional APIをリリース

移植が容易で、先進的な3Dレンダリングエンジンへ効率の良いアクセス

暫定仕様に対して業界へフィードバックを依頼

米国オレゴン州ビーバートン - 2021年11月2日 – 本日、Khronos® Group は、スケーラブルな3Dデータビジュアライゼーション向けの暫定的なオープンな標準規格APIであるANARI™ 1.0(Analytic Rendering Interface)をリリースしました。ANARIは、レンダリング処理の詳細を指定するのではなく、シーンの記述を構築して画像を生成することができるため、ビジュアライゼーションアプリケーションの開発を容易にし、最先端のレイトレーシングを含む多様なレンダリングエンジンを提供する様々なベンダーに対して移植のし易さを提供します。Khronosは、ANARIの仕様 に加えて、サンプル実装、スターターアプリケーション、開発ツール、コンフォーマンステストをオープンソースで公開しており、2022年の仕様確定に向けて、コミュニティからのフィードバックに期待しています

3Dビジュアライゼーションは、複雑なデータを理解し、図解し、洞察を得るために、スーパーコンピュータや業界全体で重要なツールです。ANARIが無い場合、複数のベンダーのレンダリングエンジンにアクセスするために、可視化エンジンやライブラリ、アプリケーションを独自のAPIに移植する必要がありました。ANARIは、今日のスーパーコンピュータ環境で高いパフォーマンスが得られるように設計されている為、この分野やビジュアライゼーションの専門家は、複数の低レベルのレンダリングエンジンを扱うのではなく、シーンの記述を構築するだけで、レイトレーシングや分散型レンダラーなどの高度なレンダリング技術を利用することができ、開発時間を大幅に短縮することが可能です。これにより、ビジュアライゼーションアプリケーションは、さまざまなバックエンドのレンダリングエンジンに移植可能となり、バックエンドレンダリングエンジンは、レイトレーシングなどの最新技術を含むレンダリング技術を自由に使うことができるようになります。

科学的なビジュアライゼーションのエコシステムには、VMD、VTK/ParaView、VisItなどの主要なビジュアライゼーションのアプリケーションベンダーが含まれており、ANARIの設計に積極的に参加しています。また、AMD、Intel、NVIDIAが開発中の初期のANARI実装では、それぞれのRadeon ProRender、OSPRay、VisRTXレンダリングエンジンへのアクセスを提供予定です。

ANARIワーキンググループの議長であり、NVIDIAのシニアソフトウェアエンジニアであるJefferson Amstutz氏は、「業界にとってWin-WinとなるANARIは、スケーラブルでポータブルなレンダリングを可能にするよう設計されており、最先端のレンダリング技術やハードウェアに最適化されたレンダラーに広くアクセスできる一方で、探索的なビジュアライゼーションに必要なインタラクティブ性を実現しています。Khronosは、このような業界のニーズを予測し、3Dビジュアライゼーションのコミュニティに優れたデザインのクロスプラットフォームAPIを提供するために、2年以上にわたってANARI仕様の策定に取り組んできました。当初の目的である科学的なビジュアライゼーションのその先を見据えて、ANARIは、洗練された画像をレンダリングするためのよりシンプルで高レベルなAPIを必要とする様々な分野の多くの開発者に価値を提供できると信じています」と述べています。

ANARIは、プラットフォームに依存せず、C99/C++ベースで、分散されたコンピューティングリソースやレンダリングリソースを利用したスケーラブルなレンダリングを可能にするように設計されています。アプリケーションとの直接連結により、計算とレンダリングを非同期にオーバーラップさせることができ、メモリに常駐する大規模なボリュームやジオメトリのデータセットをその場で処理することができます。また、ランタイムでクエリが出来ることにより、アプリケーションを適切なレンダラーに「マッチング」させることが可能です。

ANARI 1.0は、仕様を確定する前に業界からのフィードバックを取り入れることを可能にするため、暫定仕様としてリリースされました。Khronosは、ANARIが既存のワークフローと効果的に統合されるよう、仕様書のGitHubリポジトリ でデータビジュアライゼーションコミュニティからのコメントやフィードバックを受け付けています。

仕様書 に加えて、ANARIワーキンググループは、2022年に最終仕様書が利用可能になる際には、開発者がAPIや実装に慣れ親しんで、正式に準拠することが出来るようにオープンソースソフトウェア 集をApache 2.0ライセンスで公開しました。このソフトウェアには、CPUベースのレイトレーシングで外部エンジンに依存しないシンプルなANARIの実装、小さなANARIアプリケーションのサンプルのライブラリ、APIコールのデバッグとトレースのための初期の検証レイヤー、ANARIコンフォーマンステストスイートのベータリリースなどが含まれています。

ANARIに対する業界からのサポート:

“The ANARI rendering API is a big step in standardizing the pipeline of scientific rendering, allowing developers and scientists to write code once and render many places without needing to know the specifics of the device. We look forward to supporting multiple platforms for GPU and CPU rendering via our Radeon ProRender backend for ANARI, which is expected to be available soon at GPUOpen.com,” said Brian Savery, Radeon™ ProRender software lead at AMD.

“As an advocate for open, industry-wide standards, Intel embraces the high-level rendering API specification ANARI led by the Khronos Group. The ANARI working group found the fine balance between providing ease-of-use for applications development and delivering capabilities for high-performance implementations by vendors. Intel supports the ANARI API with an open-source implementation based on Intel® OSPRay (part of the Intel® oneAPI Rendering Toolkit), contributing expertise and technologies to advance scientific visualization, high-fidelity rendering, and MPI scalability to ANARI users,” says Jim Jeffers, senior principal engineer and senior director of Intel Advanced Rendering and Visualization.

"At Kitware, providing access to the latest large scale scientific and medical visualization techniques is critical to our business. With ANARI we can leverage its API to easily support multiple backends ranging from ray tracing to traditional polygonal engines across deployments ranging from individual clients to distributed rendering on the largest supercomputers. For applications like ParaView ANARI is a huge win, giving us access to many rendering engines without the prohibitive per-engine development costs," says Ken Martin, co-founder and distinguished engineer at Kitware.

"ANARI not only will contribute to application portability of visual analytics tools, but also will reduce the burden of developing and maintaining visualization services across pre-exascale and exascale systems at Oak Ridge Leadership Computing Facility (OCLF)," says Benjamín Hernández, computer scientist, Oak Ridge National Laboratory.

“The ANARI API will be a huge productivity booster for us, simply by reducing our development and maintenance costs quite significantly and by providing instantaneous portability across multiple hardware platforms,” says Christiaan Gribble, director of high performance computing, applied technology operation, SURVICE Engineering.

“The ANARI open rendering interface standard will help address the unique needs of technical and scientific visualization tools, enabling them to leverage state-of-the-art renderers using powerful ray tracing methods for interactive, in-situ, and post-hoc visualization on hardware platforms ranging from PCs to the largest parallel computers in the world. ANARI’s high-level interface will enable visualization software developers to rapidly deploy cutting-edge hardware-optimized renderers and rendering technologies in their tools, relying on an ecosystem of robust standard-conforming implementations. Users of leading visualization tools such as VMD will be able to make routine use of state-of-the-art visualization performance and cinematic quality rendering within their preferred software,” says John Stone, senior research programmer at University of Illinois.

Khronosについて

Khronos グループは、180以上の業界をリードする企業からなるオープンな非営利のメンバー主導のコンソーシアムであり、3Dグラフィックス、AR、VR、並列プログラミング、ビジョンアクセラレーション、機械学習のための最新でロイヤリティフリーの相互運用可能な標準規格を作成しています。Khronosの活動には3D Commerce™、ANARI™、glTF™、NNEF™、OpenCL™、OpenGL®、OpenGL® ES、OpenVG™、OpenVX™、OpenXR™、SPIR-V™、SYCL™、Vulkan®、WebGL™が含まれます。Khronosのメンバーは、Khronosが制定する仕様の開発と発展を推進し、仕様のドラフトと適合性テストへの早期アクセスを通じて、最先端のプラットフォームとアプリケーションの提供を加速することができます。