Khronos™ Group、OpenGLおよびOpenGL ESのコンフォーマンス・テストのオープンソース化を発表

デベロッパ・コミュニティは、テストプログラムの開発・改良へのコード投稿や、オープンソースの3D API実装での使用自由化で品質向上が可能

業界を代表するハードウェア/ソフトウェア企業から構成される、オープン・コンソーシアムのクロノス・グループは(以下、クロノス)は、OpenGL®およびOpenGL® ESの3Dグラフィックス向け標準規格APIをオープンソース化したと発表しました。これに伴い、OpenGL®およびOpenGL® ESのテストソースと、Vulkan®リリース時にオープンソース化したVulkan®テストスイートを保管する新たなGitHubソースレポジトリを作成しました。レポジトリの統一により、クロノス3D関連API各種のテストプログラム開発の効率化と短期化が、加速すると期待されます。今回の対象であるこれらの3D APIテストソースは、Apache 2.0ライセンスのもとで本レポジトリ(https://github.com/KhronosGroup/VK-GL-CTS)から入手可能です。

今回の発表について、Imagination Technologiesのリーディング・ソフトウェアデザイン・エンジニアであり、OpenGL® ESワーキング・グループのチェアを務めるTobias Hectorは、次のようにコメントしています。「OpenGL® ESワーキング・グループは、Vulkan®に続いて今回の3D APIコンフォーマンス・テストの公開を歓迎します。公開によって透明性がさらに確保され、デベロッパ・コミュニティの直接参加が奨励されることで、テストの品質向上につながります。」

クロノスでは引き続き、各3D APIのコンフォーマンス。テスト改善に積極的に投資し、同時にGitHubの活用により コミュニティからの意見の吸収や活動への参画を推進したいと考えています。OpenGL®をはじめOpenGL® ES、Vulkan®を実装し、これらのAPI名や商標の使用ならびにクロノスのIPフレームワークの有効活用を希望する企業は、クロノス「アドプター」会員となることをお勧めします。「アドプター」会員は、各種の公式テストスイート・パッケージの利用のほか、アドプター会員向けのWebサイト経由でコンフォーマンス・テスト結果を提出することで、ワーキング・グループによる審査と共に、その結果として実装品に対する正式な適合認証を取得できます。今回のオープンソース化決定に沿い、OpenGL® ESワーキング・グループは新規コンフォーマンス・パッケージをオープンソース・レポジトリでリリースしました。今後アダプター会員各社は、この新バージョンの3.2.2で提出をお願いすることになります。

NVIDIAのプリンシパル・エンジニアであり、OpenGL®ワーキング・グループのチェアを務めるPiers Daniellは、次のようにコメントしています。「これからはデベロッパの方々が直接、コンフォーマンス・テストのバグ修正を行うことがでます。また、テストプログラムの投稿も可能なため、すべてのベンダーがOpenGL®の仕様を可能な限り正確に実装できるようになります。OpenGL® ESおよびVulkan®とレポジトリ共有がされたことで、これら3種類のAPIすべてが公開コードとしてのメリットを享受できるようになったことは、OpenGL®にとっても喜ばしいことです。」

業界のコメント

大渕栄作氏(株式会社ディジタルメディアプロフェッショナル 常務取締役開発統括部長)
「DMPは、長年クロノスのコントリビュータであり、OpenGL ESのアドプターとしてGPU製品の開発・販売をしてきました。当社は、今回の発表を歓迎すると共に、クロノスAPIの今後の普及と市場拡大を支援してまいります。」

Pyry Haulos氏(Google社シニア・ソフトウェア・エンジニア兼クロノスVulkan®コンフォーマンス・テスト・リード)
 「クロノスの、コンフォーマンス・テストのオープン開発に対するサポートが広がることで、当社のAndroidエコシステムにとっても、業界全体での3Dレンダリングの自動テスト共通化を可能にする助けとなります。」

Brian Paul氏(Mesa 3Dオープンソース・ライブラリの開発者で、OpenGL®実装を主導)
「Mesa 3Dのプロジェクトメンバーたちは、今回の展開に胸を躍らせています。テストスイートが公開され、新規テストの投稿ができるようになったことは、すべてのOpenGL®ならびにVulkan®実装製品に恩恵をもたらします。オープンソース製品と特許保護されたドライバ製品の双方において、品質と統一性がこれまでよりもはるかに改善されることになると考えます。」

Robert Simpson氏(Qualcomm Technologies社テクニカル・スタンダード担当ディレクタ)
「プラットフォーム間におけるアプリケーションや、ツールのインターオペラビリティとポータビリティの点で、コンフォーマンス・テストの完全性と正確性は極めて重要です。OpenGL®ならびにVulkan®のコンフォーマンス・テスト開発をオープン化することで、標準規格開発プロセスにコミュニティからの参画がより活発となり、最新テクノロジーの製品化が、これまでよりも短期間かつ高品質で実現できるようになると確信しています。」

Weijin Dai氏(VeriSilicon社最高戦略責任者)
「クロノスの標準規格API各種の普及により、VivanteのGPUを搭載し、世界で使用される10億台以上の自動車、航空、IoT、消費者製品を開発した数千ものシステム・インテグレータに対し、当社のGPUソリューションを拡張展開することができました。APIのコンフォーマンス・テストを公開化することで、当社の多様なユーザー層に対しても開発への大きな力添えとなり、また、コミュニティからの投稿を通じ、クロノスAPI各種のさらなる強化や高付加価値化にもつながることだと考えます。」

Khronos Group(クロノス・グループ)について

The Khronos Groupは、さまざまなプラットフォームやデバイス上で並列コンピューティング、グラフィックス、ビジョン、センサー・プロセッシング、ダイナミック・メディアのオーサリング及び高速化を可能とする、オープンな業界標準の仕様策定を行うコンソーシアムです。クロノスが仕様策定する業界標準にはVulkan®、OpenGL®、OpenGL® ES、OpenGL® SC、WebGL™、SPIR-V™、OpenCL™、SYCL™、OpenVX™、NNEF™、COLLADA™、glTF™などがあります。クロノスの会員は各仕様の策定作業に参画し、一般公開前のさまざまな過程で仕様策定に関する投票を行うことができるほか、仕様のドラフトへのアーリーアクセスならびにコンフォーマンス・テストを通して、自身のプラットフォームやアプリケーション開発の期間短縮や機能強化に役立てることができます。詳細情報はWebサイトで公開されています(www.khronos.org)。

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